2024/8/3
滝のように出る汗のことを滝汗と呼ぶのなら、僕らの汗は間違いなく滝汗だった。それも、大杉谷に懸かる巨瀑のような。
今回必要だったのは、タープや寝袋などの泊まり装備ではなく、OS-1だった。
暗い中歩き出したが、最初から蒸し暑かった。
小さなアップダウンを繰り返す道に塩分を奪われる。
シシ渕の水位は以前来たときとは比べられないくらい下がっていた。
桃ノ木小屋。
上裸のキムとパンイチのリュウという組み合わせを、小屋泊していた人たちに見られて、ちょっと恥ずかしかった。
桃ノ木小屋から少し進んだところで入渓する。
やっと沢登りができる。
入渓してすぐに、七ツ釜滝F1。
渇水のおかげか、水線ど真ん中を快適に登ることができて、気持ち良かった。
F1を超えると、巨大な釜を持ったF2とF3。
日本三大峡谷、大杉谷。そのスケールを大いに感じられる空間。
F2の水線は登れそうにないので、小さく巻く。
F3。
左壁をフリーソロで超える。
そしてF4。
この滝だけは登山道からは見ることができない。
世界のどこかで戦争が起きていようが、バイデンかトランプが大統領になろうがどうでも良いと言わんばかりに泰然と、この空間に居座っている。
直登は厳しいので、左岸のリッジから巻いた。
F4の落口には綺麗なポットホールと進む先に吊橋が見えた。
しばらくは河原で、真横にある登山道を使いながら進む。
大ガレを超えた先の河原は伏流していた。
相当水が少ないことを物語っている。
河原を進むと光滝が現れる。
落口から吹き出している水が、途中からは岩盤を流れるという構成で、豪快さと優美さを併せ持つ滝。
テラスからロープを出した。
出だしは草付きで、途中から水線横、そして落口へとダイレクトに出た。
気持ちの良いライン。
そして今回予定している行程の最後の滝である隠滝。
名前の通り、岩壁に隠れて奥が見えない。
とりあえず泳いでいくが、思っていたより長く、弱いながらも流れがあってかなり疲れた。
この泳ぎが今回の遡行の核心だった。
釜の向こうからは見えなかった奥にも滝が落ちていて、珍しい形状をしていて面白い。
水流の真ん中を登る。
無事落口へ。
この時点で13時前だったので、一泊二日の予定を日帰りに変更して下山することに。
アップダウンを繰り返す登山道は、こんな山奥なのに全然涼しくないどころか、かなり蒸し暑く、汗が全く止まらない。
途中から、しょっぱいはずの汗の味がしなくなって、体は重く、頭も少しクラクラして足取りもおぼつかない。
なんとか車まで辿り着いて、最初に見つけた自販機でスポーツドリンクとエナジードリンクを混ぜて飲んだら、めちゃくちゃ元気になった。
◎遡行図
◎コースタイム
駐車地 4:10
〜桃ノ木小屋 6:25
〜七ツ釜滝最下段下 6:55
〜七ツ釜滝最上段上 9:35
〜光滝下 10:15
〜光滝上 11:20
〜隠滝下 11:35
〜隠滝上 12:45
〜駐車地 16:40
◎メンバー
キム、リュウスケ(記)