2024/5/25
僕は昼休みに、よく湯ノ湖の周りを走ったり、散歩したりする。
湯ノ湖とは奥日光湯元温泉にある、外周3km弱の小さな湖だ。
ある日、いつも通り湯ノ湖を散歩しながら周りの山を眺めていると、山の中腹に切れ込んだ暗い沢筋を見つけた。
遠目ではとても登れなさそうで、かなり悪そうに見えた。水もほとんど無さそうという印象だった。
普段は水の少ないところには、あまり興味を持つことはないが、今の住まいからは程近く、あの暗い隙間を毎日目にしていると、無視する訳には行かなくなってくる。
誰かが行っていたりするのか調べてみたが、記録は見つからず、僕の中であの隙間の存在は日増しに大きくなっていった。
登れなくても、上から懸垂して中を覗くだけでも良い。そんな心持ちで向かった。
スキー場を登って行って、白根山登山口の脇から五色沢に入渓。
最初は堰堤がいくつかあり、作業道らしき道で進んで行く。
わかってはいたが、この時期はまだ雪渓がありすぎる。
しばらく進むと、例の隙間が見えた。
予想よりも水が流れているのを不審に思っていたら、支流から湧水が出ていた。
この支流を超えると、やはり水は枯れた。
急な雪渓の斜面を登っていく。
雪渓の上を快適に進むことができるが、側壁はなかなか高い。
あの隙間も近い。
支流には登れそうな大滝。
水は本当に少ない。
支流大滝下から本流へ戻る。
側壁が高くなってきた。
いよいよ、例の場所へと踏み込んでいく。
水は無く、沢床は落石が堆積しているが、こんな天気の良い日にも日が当たらないこの場所は、僕の好みだ。
どん詰まりには遠くから見て極悪そうに見えていた壁。
案外簡単に登れそうに見えたので、右のチムニーへと進む。
しかし、チムニーを少し登ってからロープを出した。
でかい岩が簡単に剥がれる上に、傾斜が強い。
ザックを背負っていたら通れないくらいの狭い場所で、浮石に気を遣いながらジリジリ登って行く。
高度感がイイ。
2ピッチで50mくらい登った。
ここを抜けると、沢筋は開けるが、傾斜が強い上に稜線まではところどころ雪が乗っかっているのが見える。
ここからは真っ直ぐ詰めずに、左岸尾根の登山道へ向けてトラバースしていった。
しかし、笹薮が濃く、それなりの斜度があるため足元が滑る。腕がパンプするしんどい藪漕ぎだった。
沢登りという感じでは無かったが、気になる場所に行けて、尚且つ直登もできたので満足。
でもやっぱり水が恋しい。半日休みにはこれが限界か。
メンバー:リュウスケ(記)